塔(2020年7月)

この灰の前世は花と告げられて焼却炉まで夢を歩いた


蜜漬けの果実の浸るより深く祖母のまなこに五月の桜


ファミレスの氷を噛んで濡れた歯の温度を殺すようなキスした


ずぶ濡れの小鳥の喉に絡みつく夏の夜風のような執着


散るという死に様をもつ生き物であれぬ命を生かす明日も


鬼の頬を撫でる貌したこのひとの眠る姿を見たことがない


塔短歌会に入会して、はじめて歌が載りました。4月に投稿してようやく。

ブログには投稿歌をすべてあげてゆくつもりです。選歌は反映しません。

短歌は楽しいなあ。歌集を出したいとか賞がほしいとか褒められたいとか、そういう気持ちから解放されて、こんなに楽しくなるなんて。

いまのところ欠かさず歌を送っているので、来月からますます塔が楽しみです。