第19回若山牧水青春短歌大賞

深海のいきもの図鑑めくる手を包む視線のやわらかい午後

朝満ちるシンクの底で水滴が雨の萌芽を真似てはじける

たすけて と言わせた鳥のアバターに声も知らない人からの花

たましいの匂い、と思う突風に永遠という喩えの脆さ

ひとつひとつボタンを外す花束を包む薄紙むくようにして

 2018年の9月に作った歌。3年前に短歌を作り始めた頃とはずいぶん雰囲気が変わったなと改めて思います。この年の角川短歌賞に応募した連作を作ったあたりからずっと力まずに歌を作れていて、自分の作品をいつまでも好きでいられるような気がして、歌を作ることが純粋に楽しい。