塔(2021年2月号)
死者のは死者の顔をしている透き通る湯灌の後の髪を梳きつつ
冬を堪える蕾のように閉じているうすい瞼は何を守りし
一人分の不在を乗せて収骨台のみが変わらぬままの火葬炉
死者よりも死者の歴史を蓄えて胸骨と螺子しゃらしゃらと鳴る
同じ人数と火葬場をあとにする母の背に濃い昼の影落ち
忘れ得ぬ収骨室で浴びた熱 雪に閉ざされゆく土地を去る
死者のは死者の顔をしている透き通る湯灌の後の髪を梳きつつ
冬を堪える蕾のように閉じているうすい瞼は何を守りし
一人分の不在を乗せて収骨台のみが変わらぬままの火葬炉
死者よりも死者の歴史を蓄えて胸骨と螺子しゃらしゃらと鳴る
同じ人数と火葬場をあとにする母の背に濃い昼の影落ち
忘れ得ぬ収骨室で浴びた熱 雪に閉ざされゆく土地を去る