塔(2020年10月)

いにしえの回転遊具脱皮するように鋼の肌のなまめく


はなびらを花から奪う春風のような筆致であったㅤㅤわかった


樹の影に小鳥の姿見失うふいに途切れるあなたの語り


照準を2秒で合わせ降下する鳥の眼(まなこ)の火をくれますか


薪(たきぎ)から炎はあふれこの夜が記憶の灰となる日を思う


花嫁の羽化を待ちつつㅤ試着室の呼吸のように揺れるカーテン


もう消えた虹の話を繰り返すあなたに次の花火を渡す


如月の釧路の雪に立ちすくむ少女のように丹頂のあり